~1000A以上のシステムにおいて高精度な保護をいかに実現するか~
2025年1月~7月の中国における太陽光発電設備の新規導入容量は2.23億kWに達し、累計設備容量は111億kW(111,000万kW)を超えました。これは三峡ダム発電所約49基分に相当します。中国西部は人口密度が低く、日照条件が極めて良好なため、メガソーラー(大規模集中型太陽光発電所)の建設に最適です。こうした集中型太陽光発電所では、高出力インバータが1000Aを超える大電流を扱う必要があり、従来の変流器(CT)では精度が不足し、要件を満たせません。本稿では、このような大電流環境に対応可能な高性能電流センサーのソリューションを紹介します。

高出力太陽光インバータとは、一般的に100kW以上の出力を有するインバータのことで、太陽光パネルで発電された直流(DC)を交流(AC)に変換し、系統連系または負荷供給を行う、太陽光発電システムの中核機器です。用途や出力に応じて、主に以下の2種類に分類されます。
以下は、高出力太陽光インバータ向けの代表的な電流検出方式の比較です。
| 検出方式 | 原理 | 利点 | 欠点 | 適用シーン |
|---|---|---|---|---|
| ホールセンサー方式 | ホール素子により電流が生じる磁界を非接触で検出し、電流値を算出 | 非接触測定で回路への影響が小さい;応答が速い;精度が高い | コストがやや高い;高精度用途では較正が必要な場合がある | 精度と応答速度が重要な高出力インバータ |
| 分流抵抗(シャント)方式 | 回路に既知の抵抗を直列接続し、その両端の電圧降下から電流を算出 | 構造がシンプルでコストが低い;広い測定範囲;安定性が高い | 接触式測定のため回路を切断して接続が必要;大電流時に自己発熱し、精度に影響 | コスト重視かつ電流範囲が比較的固定されたシステム |
| 光ファイバーセンサー方式 | 光ファイバーをセンシング媒体として利用し、光の伝送特性変化で電流を検出 | 電磁ノイズに強く、絶縁性能が高い;高電圧・大電流環境に最適 | コストが非常に高く、設置・調整が複雑 | 高電圧・強電磁干渉環境下の監視 |
| ロゴフスキー(Rogowski)コイル方式 | 電磁誘導原理に基づき、被測定導体に巻いたコイルの誘起起電力を積分して電流を算出 | 柔軟なコイル形状で設置が容易;回路を切断不要;広帯域・高速応答 | 精度がコイル製造精度や設置位置に依存;積分回路が必要 | 設置の簡便性と高速変動電流の測定が求められる場面 |
電流検出方式を選定する際には、精度・コスト・設置性・ノイズ耐性などを総合的に評価し、用途に最適な方式を選ぶ必要があります。
CM4Aはクローズドループ(閉ループ)ホール方式を採用しており、二次側コイルで補償電流を生成し、一次側磁界を打ち消す「ゼロフラックス(零磁束)検出」を実現しています。主な特徴は以下の通りです。

要件
CM4Aソリューション
実績例:某社インバータにCM4Aを採用し、MPPT効率が1.5%向上
要件
CM4Aソリューション
実績例:1MW太陽光発電所でCM4Aを4台並列使用し、故障率が80%低下
| 応用シーン | 推奨モデル | 測定範囲(A) | 精度 | 絶縁耐圧(kV) |
|---|---|---|---|---|
| ストリング型インバータ | CM4A H00 | ±2100 | ±0.3% | 3.8 |
| 集中型インバータ | CM4A H00(並列使用) | 4000以上 | ±0.3% | 3.8 |
| 太陽光+蓄電システム | CM4A H00 | ±2100 | ±0.3% | 3.8 |
| マイクロインバータ | AN1V | ±100 | ±0.5% | 2.5 |
CM4Aクローズドループホール電流センサーは、「高精度」「大電流対応」「高絶縁性」「高速応答」という4つの優れた特性により、太陽光インバータにとって理想的な「電流哨兵」と言えます。特に1000A以上の高電流システムにおいて、CM4Aは発電効率の向上と故障率の低減を実現し、太陽光発電システムの信頼性と経済性を支える重要なデバイスです。