関連データによると、2025年10月末時点で中国国内の充電スタンド総数は1,864.5万台に達し、前年比で54.0%増加しています。最近、国家発展改革委員会をはじめとする4つの政府機関が共同で文書を発出し、高出力充電インフラの積極的な整備を推進しています。これにより、800V高圧システムおよび350kW超急速充電技術が徐々に普及しつつありますが、その一方で充電スタンドにおける直流漏れ電流への関心も業界内で高まっています。
従来の交流漏電遮断器(RCD)は、滑らかな直流または脈動直流の漏れ電流を検出できず、誤動作や検出漏れを引き起こす可能性があります。IEC 62955規格のモード3では、充電スタンドにはDC 6mAの直流漏れ電流検出機能が必須とされています。しかし、従来のホール効果センサはコストが高く、精度も不十分なため、この要件を満たすことが困難です。
このような状況下で、磁束ゲート技術(Fluxgate)はその高精度・低温度ドリフト・広帯域応答性といった特長から、直流漏れ電流検出の最適なソリューションとして注目されています。本稿では、直流漏れ電流検出に関する課題とその応用について述べます。

一次側電流 ( I_p ) が発生させる磁界と、補償コイル上に流れる出力電流 ( I_s ) が発生させる磁界は、大きさが等しく方向が逆になります。コイルと方形波発振回路によって方形波を生成し、発振回路の出力信号を復調・フィルタ回路で処理してゼロ磁束状態の信号を取り出します。その後、オフセット調整および増幅回路により、ゼロ点および出力信号の振幅を調整します。
磁芯がゼロ磁束状態で動作するため、磁芯の非線形性や残留磁気による影響を受けず、結果として高精度かつ非線形歪みが小さいという特性を持ちます。このため、磁束ゲート方式の直流漏れ電流センサは、微小な直流電流および漏れ電流の検出に最適です。
FR2V H00シリーズは、シンセン電子(CoreSens Electronics)が独自開発した磁束ゲート技術を採用した電流センサで、直流漏れ電流検出専用に設計されています。主な用途はEV充電スタンド・太陽光インバータ・直流電源装置などです。
| 型番 | 測定範囲 | 理論感度 | ゼロ点温度ドリフト | 応答時間 | 典型的な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| FR2V 0.01 H00 | ±15 mA | 500 V/A | ≤±1.5 mV/°C | 500 ms | 太陽光インバータ、直流充電スタンド |
| FR2V 0.05 H00 | ±75 mA | 100 V/A | ≤±1.5 mV/°C | 500 ms | 急速充電スタンド、蓄電システム |
| FR2V 0.30 H00 | ±360 mA | 16.67 V/A | ≤±1.5 mV/°C | 500 ms | 高出力充電設備 |
主な優位性:
課題:800V高圧直流急速充電スタンドでは、直流漏れ電流の検出が困難であり、従来のRCDは機能しないため、絶縁故障やアーク事故のリスクがあります。
解決策:FR2V 0.05 H00センサを採用し、±75 mAの直流漏れ電流を検出(応答時間 < 500 ms)。
システム構成:漏れ電流が閾値(例:6 mA)を超えると、センサが出力電圧信号を発し、制御ユニットが電源を遮断します。
課題:太陽光インバータが発生する交直複合波形の漏れ電流により、誤動作または検出漏れが発生しやすい。
対策:
要件:蓄電池モジュールの絶縁劣化をリアルタイムで監視し、直流漏れ電流の蓄積による火災リスクを防止。
ソリューション:
| 優位性 | 詳細説明 |
|---|---|
| 直流漏れ専用設計 | 従来のRCDでは検出できない直流漏れに対応 |
| 高感度・高精度 | FR2V 0.01 H00の理論感度は最大500 V/A、微小漏れも正確に検出 |
| 低温度ドリフト | ゼロ点ドリフト ≤ ±1.5 mV/°C、長期使用でも校正不要 |
| 高速応答 | 応答時間500 ms、IEC 62955の遮断時間要件を満たす |
| 統合容易性 | 標準出力インターフェース(±5 V)、充電スタンド制御システムとシームレス接続 |
設置時の注意:
環境適応性:
保守推奨:
スマート漏れ電流検出
AIアルゴリズムを活用して漏れ電流波形をリアルタイム分析し、絶縁劣化の早期警告を実現。
V2G(Vehicle-to-Grid)
双方向電力供給に対応する充電スタンドでは、FR2Vセンサが系統へのフィードバック電流の高精度検出に使用される。
国際標準の進化
新規格IEC 63053では、直流漏れ電流検出要件がさらに厳格化され、磁束ゲート技術が主流ソリューションとなる見込み。
FR2V H00シリーズ磁束ゲート電流センサは、高精度・低温度ドリフト・直流漏れ専用設計という特長を活かし、EV充電スタンド・太陽光インバータ・蓄電システムにおいて信頼性の高い直流漏れ電流検出ソリューションを提供します。充電スタンドの安全性向上が求められる今後のトレンドの中で、磁束ゲート技術は業界標準装備となる可能性が高いです。
提言: